ごあいさつ
子どもの頃から音楽が好きでした。
特にロックは無知で無邪気な僕を「それでいい」と肯定してくれました。
でも『それ』は言葉ではない何かです。
45歳のとき本格的開業決意し、46歳で開業に至りました。それまでにも紆余曲折がありました。私自身が一枚の葉っぱです。
益田市で生まれ育った私にとって、高津柿本神社は生まれた時からそこにありました。歌聖柿本人麻呂は1000年以上前に多くの歌を歌い、今でもその痕跡を残します。彼が歌った名もなき恋の歌は言葉ではない何かです。「恋の歌ばかりで好きじゃない」という人ももちろんいます。好き、嫌いはともあれ万葉集を紐解けば、名もなき歌や、名もなき詩人の名前が見つかるかもしれません。でも本当に伝えたいことはその言葉の外側、あるいは内側にある想いである気がします。
そうして『それ』は言葉や人を介して、別の人の脳(あるいはこころ)に記憶されます。
現代社会は言葉と記号に溢れています。SNSは言葉的記号的世界でありながら、結局のところむき出しの感情が暴れます。場合によっては人が亡くなります。日本ではつながりが強調され、主観は「それはあなたの感想に過ぎませんよね」と封印される始末です。
あなたや私、彼、彼女らはみんな違うはずなのに(それを多様性というはずです)。そのことに気が付いている人は少なくありません。
とはいえAI的記号世界はますます進展します。
「万葉コトノ葉クリニック」は無数の言葉にならないコトノ葉を扱うクリニックです。私と患者さんの双方でコトノ葉を並べ、眺めることで、新たな気付きが得られるかもしれません(電球のランプみたいに)。コトノ葉が散乱しているのならまずはそこに気が付くことが大事です。答えは出ないかもしれませんが、それは価値あるものになると信じます。その過程やその先に『それ』が見つかると、尚良いですね。
そんなクリニックを目指します。
万葉コトノ葉クリニック 院長 長沼清